出来る女
取引を検討している会社がある。
何度か電話でやり取りしているのは
この手の業種では珍しい年配の 受付兼事務 の女性だ。
丁寧なのだが何を話しているのか 分かりにくい。
オフィスに行ってみて驚く。
年配の女性とばかり思っていたが
可憐な可愛らしい若い女性だったのだ。
発音に少し障害があるのだ と
申し訳なさそうに何度も頭を下げる。
取引をするか決める際の判断基準がある。
エントラスや応接室の調度や豪華さより
バックやスタッフルームが整理整頓されているか。
書類等の保管が美しいかどうか。
客人に見せられるレベルだとまず信用できる。
完璧だった。
キャリアウーマンとは何も
35億。に代表されるような いかにも とは限らない。
控えめに。でも過不足なく心配りができる。
居心地はとても良い。
受付から事務全般 任されている訳がよく分かった。
「よろしくお願いいたします」
こちらこそ。という思いで頭を下げる。
最後に
「とてもお美しいですね」
思わず容姿を褒めてしまった。
「・・・まだ新しい場所ですので」
少しはにかんだ笑顔でこう返ってきた。
爪の垢でも煎じて飲みたい。