「飾り手:シルソワ」
しまった…。
可愛い女を演出する予定だったのに
うっかり仕事について熱く語ってしまい
次のデートのお誘いがない。
「聞かれたからって 調子に乗るからよー」
と 案の定 友人に注意される。
男性ホルモン過多で髭が生えない内に助けを求める。
食事に行くのを一回止めれば手に入る
大人の女の夢の国へ駆け込むのだ。
因みにこのピアスはアイコンのと同じだ。
初めて手にして嬉しかったお気に入りだ。
のんびり甘やかな雰囲気に迎えられ
あっという間に時間が過ぎる。
しかし。
造り手の彼女はふんわり綺麗な女だけではない。
この程、アトリエを移し製作に専念する。
人気で受注が止まらないのもあるが、
造りたい物の構想が多岐に渡るそうだ。
「そうそう。今更だけど シルソワの由来教えて」
それまで2人してわぁわぁ騒いでいたのに
恥ずかしそうに小さな声でそっと教えてくれた。
「絹のように繊細に煌めく手仕事」
恋バナから言えない話まで何でもするが
結局、私達は仕事の話が一番盛り上がる。
この冬。私の敬愛する手仕事がやってくる。